【#de4335】男の子と女の子の差
我が家の子は「男の子」である。
もう中学生なので、どちらかといえば「男子」の方がしっくりくるのかもしれない。この「男の子」という生き物は日々不可解の連続であり、女の私からすると「は?」ばかりの毎日だ。
私が産む子が男の子だと分かった時、兄二人を見て育ってきたから大丈夫だろうと、幾らかの安堵感があった。どちらかといえば、女の子が産まれたら清く正しく育てられるだろうか…とドキドキしていたほどである。生まれた子供は、幼稚園の担任が「そっくり…!!」と腹を抱えて笑うほどに、父親によく似た子であった。
未就園児の時はさほど気にはならなかったのだが、幼稚園に入園したあたりから「女の子との違い」がよく目に付くようになる。
最初に気がついたのは、水着のお着替えを手伝いに幼稚園に行った時だった。息子の幼稚園にはプールがあるのだが、年少さんは自分でお着替えができない為、親が当番制でお手伝いに行く。
息子のクラスの子たちが一斉に着替え始める。他の子を優先するとヘソを曲げるので、私はまず息子に着手。目の前にいる女の子は手伝いなしで服を脱ぎ始め、きれいにたたんでいる子までいる。お利口さんだなぁと思って見ていると、自分も何かしなければやらないければいけない、と思っただろうか。息子が水泳帽をかぶり始める。「帽子は最後だよ。服を脱ぐ方が先でしょ。」と話すと、息子は素直に脱いだ。まったく、何やってんだか…と周りを見たら、お母さん達のお手伝いを待っている男の子の多くが、帽子だけかぶって待っている…!
理由はさっぱりわからない…。
この日を皮切りに、不可解な出来事は続々と起こり始める。「なんでこれやっちゃったの?」と聞くと、自分でもなぜなのか、わからない様子。「もう、やっちゃだめよ。わかった?」と言うと、うんと頷く息子。3秒後に振り返ると、また同じことをやっている!!
これの繰り返し…。
たまに不安になるのだが、周りの男の子を見ていると、息子と全く同じ行動をとっている。ああ、よかった…と少し安心する日々が続く。
まず、幼稚園に入ったら男の子ファミリーがやるべきことのオススメは、女の子ファミリーと連絡先を交換しておくことだ。
男の子に「今日、どうだった?」と聞けば「んー、忘れちゃった。」しか返ってこないし、「先生なんて言ってた?」と聞けば「何も言っていなかった。」と答える。即、女の子ファミリーに「〇〇ちゃん、何て言ってた?」と連絡したら、案の定、全く違う答えが返ってくる。それらは、後に確認してみると、当然のように、ほぼ100%女の子の話が正確なのである。
しかし、女の子だから安心とばかりは言っていられないのも事実。優等生な女の子にも注意は必要だ。男の子は、人の話をほとんど聞いていない子が多いのに対し、女の子は実に良く聞いている。信じられないだろうが「あのねー、〇〇のママは赤ちゃんが欲しいって言っていたんだけど、パパはまだいらないって言っているの。」などと思わぬところで夫婦の実情を暴露する事例は、実に多く発生している…。男の子とは真逆の注意が必要なのである。
幼稚園に入園し順調に成長していた息子。少しずつしっかりしてきたなと思っていたのだが、小学校入学時あたりから、女の子との精神年齢の差は開くばかりである。
授業参観の日。私はちょっとしたケガをしていた。「〇〇君のお母さん、ケガ大丈夫ですか。」と声をかけてくれたのは、息子のクラスの女の子達だった。本当に家の躾ができているのだろう。大人のケガを気遣う余裕があるのだ。「うん、ありがとうね。」と答えていると、チラリと息子を含めた男子5、6人が目に入った。雨も降っていないのに、傘をさして集まり「絶対安全!絶対安全!」と叫びながら行進している…。固まって動くものだから、数人の傘の骨はボッキリ折れているし、前が全く見えていないから、ひとりが転ぶと団子状態で倒れていた。
「これ、あと何年続くんですか…。」
中学生の子供がいる知り合いに聞いてみたところ、「え?ずっとこうだよ。」と言う返事が来て愕然とした。どうやら女の子との精神年齢の差は、男の子がこの後追いつくことはなく、ただただ開くのみとのことである。
男の子は、お母さんの目から見ると不思議な生き物でしかない。子どもがみんなアンパンマンを好きになるように、男の子はみんな白目になりたがるし、いつまで経っても、やれシリだウンチだと騒いでいる。「みっともないでしょ!」と言いたくなるし、山ほど言うことになるとは思うが、男の子は「昆虫」だと思って育てると良いのではないだろうか。
「なんでしたの?」「分かってるの?」と聞いたところで、多分理由はないし、全く分かってはいない。ただ、目の前にそれがあって興味があったから。それが全てだと思う。
昆虫を観察するように「ああ、ツノを動かしたなあ。」「お、何か吸っているな。」くらいの感じでいい。
中学生となった息子は、ムチムチした肉がなくなってきたからか、私に似てきた。外見は確実に成長してきているが、そこはやはり男の子。いつかの先輩ママの忠告通り、女の子と差は歴然である。
しかし、中身が成長しないというものも、私は可愛くて好きだ。「見た目は子供、頭脳は大人!」でお馴染みのコナン君の真逆ではあるものの、男の子とはこういうものだと思えるようになれば、昆虫の観察はなかなか楽しいものである。余裕が出れば「男の子ネタ」でみんな大いに笑える日が来るので、ゆったり楽しんでもらいたいと思う。
つい先ほど、息子が学校から帰ってきた。
ゆったりした気持ちで息子の部屋へ行ったところ、制服が床に脱ぎ散らかされており、昨日使った部活の服が、たった今出てきた。
昆虫をどうしてやろうかと考えている、私がいる。
writer:スカーレット
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